『陽だまり』ライナーノーツ:八谷さん

丸の内さんのライナーノーツに引き続き、『陽だまり』の録音、ミックス、マスタリング(以下、録音からマスタリングまで)を担当した八谷さんのライナーノーツです。またまた手前味噌ではございますが、対談っぽく書いてみました。聞き手はちあきです。


ー波のようでは、八谷さんとみっちー(カタヤマミチヒロ)が録音からマスタリングまでを担当していますね。曲ごとに担当を振り分けていますが、6月14日(水)に配信された『陽だまり』は八谷さんが録音からマスタリングまでを担当しています。ファーストデモ、プリプロを聞いて、曲についてどんなことを感じましたか?


前回の対談でちーちゃんと丸の内さんは「裏表のない明るい曲」と言っていましたが、僕は明るいけど陰りというか少し物憂げな感じにも聴こえました。暗いところから明るいところに行こうとする前向きな曲だけど、そんな気持ちになるまでいろいろあったのかな、みたいな(笑) コロナもあり「冴えない天気が続いたから〜」という出だしの歌詞が沁みました。


ーなるほど。特に比喩として「冴えない天気」という言葉を使ったわけではなかったのですが、どんよりした気持ちをどうにか明るくしたくて作った曲ではありました。音楽って聞く人によっていろんな想いが重なって、一つの言葉でもいろいろな捉え方ができる余白があるところが良いですよね。ところで、録音からマスタリングをするにあたって『陽だまり』をこんな曲にしたいなという参考曲(リファレンス)はありましたか?


アレンジの時点でカントリーという方向性は決まっていました。アレンジデモでアコギのコードストロークがリズムの中心となってるのを聴いて、CSN(クロスビー、スティルス&ナッシュ)を連想しました。波のようはドラムレスのバンドですが、CSNも「Suite:Judy Blue Eyes」とかドラムはないけどノリがカッコいい曲があって、参考にしたいなと何となく意識していました。実際12弦ギターを入れたり真似した部分もあります。


ーよく聞いてみるとドラムは入っていないけどかっこいい曲って結構ありますよね。波のようがドラムレスの理由は(私が以前バンドでドラムを叩いていたことがあったからか)心が疲れた時にドラムのある曲を聴けなくなってしまったときに波のよう(改名前:potatopotato)を始めたからという理由がありますが、今や波のようのアイデンティティの一つになりつつありますね。私は八谷さんやみっちーが録音からマスタリングまでの作業をするときに、いろいろなこだわりがあって、私が結構、大雑把な性格だからか、いつも二人のこだわりを尊敬の眼差しでみているのですが、、今回の一番のこだわりポイントはどこですか?


レコーディングのときはアレンジデモを再現するだけの作業にならないよう気をつけました。いろいろなフレーズを試してもらったり、アーティキュレーションで人間味を出してもらったり、その場でバンドメンバーと一緒にアイデアを考えながら録り進めました。まあデモがよく出来てるので結局デモ通りにする場面もありましたが(笑) とにかくアイデアを出すことにこだわりました。 ミックスについては、どれが一番かは難しいですが、強いて言うなら歌ですかね。優しいけどオケに埋もれないような音作りを心がけました。


ー丸の内さんも細部までこだわってデモを作っていましたが、デモよりもさらにきらきらした音が増えたように思います。いろいろな実験をしながら録音するのって本当に楽しいですよね。私も日本に戻ったら、その場に参加することを楽しみにしています。

ミックスではいろいろ実験したものを一つずつ丁寧に調整して曲をまとめる作業になると思うのですが、うまくいかないことや大変だったことなどはありましたか?


本当はギターやベースをリファレンスであげたCSNのようなサウンドにしたかったのですがなかなかそうはならず…サチュレーション系のプラグインを使ったり近づけようとしましたが今の僕の技術ではこれが限界でした(笑)


ー前回の丸の内さんとの対談でも、もっとこうなりたいという目標や次回への課題などを挙げていましたが、八谷さんもそういうところがあって、波のようのメンバーって結構ストイックな部分もありますよね。私はどうなの?と言われると、、私なりに前進しているつもりです(笑) 今年はニューヨークでたくさんライブをして、ライブ恐怖症を克服するつもりです。もっと楽しみたいんです。

さて、そろそろ最後の質問にしようと思うのですが『陽だまり』について話したいことがあれば、自由に語っていただけるとうれしいです。


前作の「雨」ではウドゥ、今作はシェケレと、手に入れたけどあまり使う機会がなかったパーカッションを入れさせていただきました。次作も何かそれ系の楽器を忍びこませられればと思います(笑)


ー八谷さん、いろいろな面白い楽器収集してますよね。曲が完成するにつれて、何の楽器かわからない面白い音が加わっていることがあるので、毎回録音やミックスが更新されるのをとても楽しみにしています。そして次作も楽しみにしています!


八谷さんのライナーノーツはここまで。現在、波のようでは初のアルバムリリースに向けて、着々と録音を進めています。次のリリースは秋頃にできるといいなと思っています。お楽しみに。




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